装甲悪鬼村正の徒然 その3

正直うろ覚えになりつつありますが、個人的に書き留めておきたいことなんかをざっくりと。
好きなキャラは最後まで湊斗さんでした。ヒロインなら香奈枝さんかな。大鳥主従が引っ掻き回してくれるシーンはどれも楽しかった。どのルートが特に好きということはなく、わりと満遍なく好きです。
魔王編序盤はハードが復讐編、ソフトが英雄編みたいな印象。どの話も湊斗さんの目的は変わらないのに、舞台がかわる個人的には登場人物の思惑が入り乱れる群像劇パートが好きだったので、卵の呪縛が解ける以前の展開の方が好み。
湊斗さんの自罰的な性格が最後の決着の伏線になるのはけっこうびっくりしたけど、これ以上ないほどらしいといえばらしい。最初の兜割りは、エンドロールが時系列順と捕らえていいなら統様の呪いの前で、湊斗さんの精神状態を考えるに薬云々の後っぽい?湊斗さんの精神状態的にも多分この期間だよなあきっと。
茶々丸視点での光との邂逅があまりにも鮮烈すぎて、もうこれ百合でいいじゃんと思ってしまった。個人的には一目惚れらしい湊斗さんとの組み合わせよりもしっくりきます。ああいう一瞬にして視点人物の心を奪い去るようなシーンは大好きで大好きでしょうがない。ただただ美しくて圧倒されてしまう。あと、このシーンを読んで初めて光って沙耶オマージュ的な部分があるのかもと思い至りました。茶々丸をフミノリに置き換えられなくもないし、世界を壊す純愛とかまんまだし。というか白いノースリーブワンピにあの髪色の時点で気づこうよっていう……。
湊斗さんは最後の最後まで恋愛すると魅力が大幅に下がる人でした。香奈枝さんとはそもそも恋愛になってないし、一条さんとは逃避の結果だし、茶々丸とはほぼ一方的に思われているだけだし、光は家族愛成分が強すぎる。村正とは一番両思いっぽかったけど、一条さんの時と同じで、あの湊斗さんは私の好きな湊斗さんとは違って思えました。基本的には好きなキャラクターには幸せになって欲しいと思うんですが、悪鬼であることに向き合ってる湊斗さんが好きなので、結果的に幸せな湊斗さんに魅力を感じないというジレンマ。つくづく信念を貫き通すことは、コミュニケーションの形のひとつである恋愛とは相容れにくいんだなあ。というか全体的にカプ萌えどころかコンビ萌えすら期待して読むような作品じゃなかったですね。「絆を結ぶ=死亡フラグ」というか。
記念作品だけあってエンタメしてて最初から最後まで飽きることなく楽しめました。とくに行間を埋め尽くす勢いで書き込まれた理詰めの戦闘描写は圧巻。今まで読んだ作品のなかで一二を争うくらい好きです。面白くてボリュームがあるってすごく幸せなことなんだなあとしみじみ。