緑川ゆき「夏目友人帳」(1)

夏目友人帳 (1) (花とゆめCOMICS)

夏目友人帳 (1) (花とゆめCOMICS)

小さい頃から時々変なものを見た
他の人には見えないらしいそれらは、おそらく
妖怪といわれるものの類

淡々と暖かく、時にはぞくりとする描写を交えながら進む物語達。最初はいやいやだった夏目少年が、半ば強引に妖怪たちのお願いを聞かされて手伝ううちに、少しずつ少しずつ打ち解けていく様子が見ててほんわかしました。打ち解けたころにお別れが来てしまうのもなんとも切なくてよい感じ。夏目少年が妖怪たちに名前を返すシーンはぞくっと美しくて一番好きです。第二話から雑誌で追いかけていたのですが、その第二話のツユカミ様の最後のモノローグがひどくこころに残っていてついつい買ってしまいました。改めて読んでみて、題名がしっくりきた気がします。
人物ではニャンコ先生がとにかくキュート!!なんだか招き猫が欲しくなってしまいましたよ。本当の姿の方もふわふわでりりしくていいですが、やっぱりニャンコな先生がいい!
妖怪が見え、それらに振り回され、そのせいで孤独な少年と彼の生き方を見届け、時にはその身を守りもする妖かし―――という組み合わせはなんだか百鬼夜行抄ですが、絵柄のせいもあってか全然別物です。むしろ蟲師のほうが近いかもしれない。作品の持つ暖かさの度合いとか。