ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破

とても熱くて重量と密度とが桁違いのものが、すごいスピードで駆け抜けていくようでした。行き着く先は中性子星白色矮星か、はたまたブラックホールか、という。

序を見たときもかなりショックを受けましたけど、破はそれ以上でした。面白いとか感動したとか泣いたとか個別の感情じゃなくてとにかくショックだった。アスカが楽しみだなーと見に行ったつもりが、なんか色々すごくて吹き飛びました。いや、すげーアスカ可愛かったですけど。久々の「あんたバカァ?」には感動しました。

以下ネタバレ


相変わらずエグいなあと思って見てたんですが、過程がエグいながらも割と王道な話運びになってきてたのに少々びっくり。上映中は、シンジよく立ち上がった!絶望から立ち上がる男の子最高!覚悟決めた表情かっけえ!とかなり感動したんですが、見終わって冷静に反芻してみると「あれ、エヴァってこんなだったっけ」と。こういうのを望んでいない人も多いんじゃないですかね。破もかなり厳しい展開だったと思いますけど、旧劇場版は厳しいなんてもんじゃなくてもっと凶悪でしたし。予告でアスカの元気そう?な姿が見られたあたりもホッとはしましたが、優しいなあとも思いました。まあだからといって安心できるわけではないとは思いますが。名前変わってもヱヴァはエヴァだし。ただ、この先の展開はどう転んでも受け付けない人はでてくるんでしょうね…。幸せになってほしい、ハッピーエンドがいいという人もいれば、そんなものエヴァに望んでないという人もいるでしょうし。私個人はエヴァにものすごく思い入れがあるというわけではないので、感情描写にカタルシスを覚えられれば結末はどう転んでも楽しめそうです。伏線投げっぱは論外ですけど。

金曜ロードショーで序見返してて、破の後だと結構印象変わるなーと思ってたとこがいくつか。シンジとミサトさんのやり取りの改変とか、留守電シーンとか、今思うとシンジがより前向きになれるような仕込みだったのかな、と。14歳の少年には厳しいことに変わりはないけど、ぎりぎり踏みとどまれるような優しさが序のころからあったんだなと思いました。あと終盤の、ミサトさんのみんなじゃなくて自分云々や、綾波の手をとってカヲル君で〆なところが構成的に似てるなーなんて思ったり。

アスカが楽しみで楽しみで観にいったわけですが、思春期度数が下がってたのがちょっと寂しかった。相変わらず自分の輝きで自己を守ってる感じはしましたけど、痛々しさはだいぶ緩和されたような印象を受けました。私は思春期萌えなのであの痛々しさが好きだったんですけど。でも本筋が前向きで王道な感じになってきてると考えると、この改変は必然なのかなーと。惣流のアスカがレイのためにすすんで3号機に乗るか、というとちょっと無理がある気がするし。あとクリーム色のワンピースが見れなかったのがすごい残念。いきなりやってくる女の子のポジションは破ではマリになったから、あの日常の外にあるようなワンピースは出てこなかったんでしょうかね…。あるいはお嬢様属性の剥奪、とか。クラスでちやほやもなかったと思うし、最初から携帯ゲーム機いじってたりするし。大好きな8話成分が少なかったので、TV版で見返したくなってきました。

新キャラのマリは真面目な顔した後ろ向きのポスター絵の印象が強かったので、蓋を開けてみれば結構な自由人でびっくり。頭固そうな人が多い中で自由に泳いでる感じがいいですねー。タータンチェックのスカートと赤いフレームの眼鏡が可愛かった。坂本真綾さんの演技もマリのさばさばした性格とはまってました。叫びも良い感じ。

加地さんとシンジ君のアッー!なシーンで上映中不覚にも吹いてしまいました。咳でごまかしましたが。今回はこのシーンとアスカと夫婦喧嘩扱いされるとこ、終盤のミサトさんとのやりとり、ゲンドウ絡み全般に萌えましたね。我ながら節操がない。

楽しかったからまた観にいこうかなと思います。私のぽんこつな脳の処理速度ではおっつかない部分もあったので。戦闘シーンも圧倒されるばかりだったのでもうちょっとじっくり楽しみたいです。