放課後は白銀の調べ〜急急如律令〜

放課後は白銀の調べ ~急急如律令~

放課後は白銀の調べ ~急急如律令~

男子高が舞台の、男装潜入伝奇恋愛ADV、というちょっと変わった乙女ゲー。乙女恋愛ADVなのに恋愛要素が微エロどころかほんのり程度なのもそうですが、攻略対象が高校2年生(メインヒーローが坊主頭)と37歳のくたびれたおっさん+α、というのもちょっと珍しいかも。
全体的な雰囲気はキャラデザをはじめふた昔くらい前な感じ。流行のものとは程遠いです。でもそこが良い。恋愛薄めで燃え重視という、乙女には珍しい硬派なシナリオととてもあってると思います。まあCG枚数とかシステムグラフィックとかBGMはもうちょっとがんばって欲しかったですが。PS2版に手を加えられているとはいえどうにもチープな感じが…。いろいろともったいない。
昭和風だの一昔前のコバルト文庫だのと評判のモノローグは慣れれば気にならなくなります。なにより主人公が女の子らしさを持ちつつも男前で、形式だけじゃなく中身も伴った良い子なので、攻略対象は主人公のどこが好きなんだよwということにはならないかと。私のように濃いモノローグが好きで、むしろ濃くなくちゃ感情移入しにくいというタイプの人には楽しめると思います。
友情最高!なゲームです。少なくとも私にとっては。男の子との恋愛もいいけど友情したい!という人にはぴったりかと思います。女だということがすぐにバレたりするということもないので、熱い友情からいがみ合いまで男の子との対等な友情が楽しめます。特に昼食イベントは必見ですね。清々しいくらいの食べっぷりとお馬鹿な掛け合いには笑わせてもらいました。主人公の要はとても男前ですが中身は意外と女の子してるので、BLっぽさはほとんどないです。私は友情だなーと捉えて楽しんでました。
燃えは乙女ゲームでは多い方だと思います。戦闘時の要の心理描写は熱いし、陰陽師の符術詠唱もかっこいいし、エフェクトや戦闘用立ち絵・BGMも頑張ってます。ただ、ほぼ学校から外に出ず、登場人物も多くはないせいかコンパクトにまとまっていて、男性向けのような戦闘に継ぐ戦闘に継ぐ戦闘といった怒涛の燃えを期待すると肩透かしかと。
シナリオの内容は
←悠斗・十馬・天也・漣・先生→
こんな感じで雰囲気が分かれる印象です。悠斗と先生では突っ走る方向性が逆ですね。個人的に青春濃度は悠斗ルートが一番高いと思うので。思春期きゅんきゅん。青春万歳。誰からクリアしても問題ないと思いますが、漣ルートに天也ルートのネタバレが含まれるので、天也を漣より先にクリアしておいた方が良いかもしれないです。
これから買うなら断然PC版がお勧め。システムが不評だったPS2版に改良を加えられていて、シーンスキップや前の選択肢に戻るボタンなど、とても快適になっています。何よりPC版で追加されたグランドルートを見ると見ないとでは大違いですね。シナリオに惚れこんだ人は必見。移植における『甘さ微増、熱さ倍増』の謳い文句は伊達じゃないです。
以下はただの感想ー
要はほんと良い主人公でした。鉄火で思慮深いとは言えないけど、真っ直ぐで行動力があって腕も立つ。でもちゃんと女の子らしいところもある。彼女が主人公だったからこそ、どのルートも最後まで楽しめたんだと思います。男どもが惚れるのも納得。
男の子と友情したくてプレイしたので、一番好きなのは悠斗ルート。ツンデレキャラはあまり得意じゃなかったのに、意地張りまくりで素直じゃない悠斗が可愛くて可愛くてしょうがなかったー。思春期全開キャラは大好きです。要とぎゃーぎゃー騒ぎまくるシーンはどれもにやにやものでした。ふたりともめんこい。
笑いあり切なくもあり燃えもありと最初から最後まで楽しい作品でした!続けられるような終わり方なので、ぜひ続編を期待したい。
ライターの中に希さんがいてちょっとびっくり。これは積んでいる神樹の館(18禁)を崩せというお告げか。霞外籠もべんがらもそのうちやりたいなあ。